上場企業で働くワーキング妊婦が見た!妊娠中の働き方とトラブル事例
こんにちは。松納言(しょうなごん)です。
私は都内に本社がある従業員数2万人の会社で働くワーママです。今回はワーキング妊婦として実際に経験した、妊娠中の働き方とトラブルについて紹介していきます。
妊娠前と妊娠後の働き方
メーカーの企画職として北海道から沖縄まで飛び回る生活を送っていました。バリキャリとまではいかないものの、官僚の夫と同じくらいの収入はありました。会社の昇進試験にも一発で合格し、順風満帆な働き方ができていたように思います。
妊娠したのは入社5年目です。結婚してから半年後の妊娠ということもあり、想定内の出来事として、多くの人から温かい言葉をかけてもらいました。
私は体力がある方です。身体も丈夫だったため、妊娠後も今までと同じように働きたいと思っていました。けれども、そう上手くはいきません。まず、つわりが思った以上につらい。出勤するのも精一杯でした。それでも仕事は入ってきます。仕事に集中しているとつわりを忘れることができましたが、頑張りすぎた日は帰宅後に激しい吐き気に悩まされました。
つわりが落ち着いてくると、今度はお腹が大きくなってきます。すると、周りの人が妊娠に気付き、気遣ってくれるようになりました。その結果、仕事の量が減ってきたのです。これは妊婦としてはとてもありがたいことでした。しかし、働く女性としては、責任ある仕事から遠ざかっているような寂しさもありました。
会社の妊婦に対する扱い
同僚や上司に妊娠を告げると、ほとんどの人が好意的な反応を示してくれました。私の気持ちを尊重しながら、負担の少ない働き方ができるよう、仕事量も調整してもらえたように感じます。
会社も妊婦のための制度は充実していました。産休・育休を取得する女性は多く、ワーママとして目標となるような先輩社員もたくさんいました。
比較的恵まれた環境でしたが、それでも不満がなかったわけではありません。一番の不満は会社からの評価が下がったことです。昇進試験に合格したものの、実際に昇進することはありませんでした。これは妊娠が理由です。また復職後も短時間勤務となるため、評価は最低ランクでした。
確かに妊娠・出産・子育てをする中で、他の男性社員のような働き方ができるわけではありません。しかし、「妊婦だから昇進できない」「短時間勤務だから最低ランクの評価」と暗黙の了解があることは、どれだけ働いても評価されないということです。こういう現実があると、がむしゃらに働いて成果を上げよう!という意欲がなかなか湧いてきませんでした。
上場企業の妊婦に対する待遇
女性の社会進出は、国も全面的に支援しています。上場企業はこういった国の政策に基づいて、経営計画を修正していきます。もちろん中小企業にも女性が働きやすい職場はありますが、制度の観点から見ると、上場企業の方が充実している傾向です。
私は就職活動をする際に、出産後のことまで考えて会社探しをしました。そして制度が充実している今の会社を選んだのです。本当は不動産業界が第一希望でした。実際に不動産業界から内定も出ていました。けれども、妊娠・出産後の働き方を考えて、第一希望の会社で働くことを諦めたのです。
ときどき「ワーキング妊婦やワーママのための制度をもっと充実させてほしい」とぼやいている女性を見かけますが、まずは自分ができる努力をするべきだと思います。私は取捨選択をして、上場企業のメーカーで働くことを決めました。この選択をすることで失ったものもありますが、妊婦として働きやすい環境は手にできたと思います。
上場企業は、健診のための特別休暇・法律で定められている産前休暇前から取得可能なマタニティー休暇・在宅で働くテレワークなど、妊婦のための独自の制度を持つ会社がほとんどです。自分が何を重視して働きたいかを明確にしたうえで、長期的な視点で会社選びをすることが大切なのではないでしょうか。
妊娠中のトラブル事例
上場企業では、妊婦のための制度は充実しています。それでも妊娠中は何があるかわかりません。また「妊婦だからといって迷惑をかけたくない」という気持ちから、無理して働き続けてしまう人も少なくありません。
実際に働く女性の方が、切迫流産や切迫早産といったトラブルを抱える人が多いといった検証結果も発表されています。ここでは私の職場で実際にあったトラブル事例を紹介していきます。
妊娠中のトラブル事例① 妊娠悪阻になったA先輩
妊娠は病気ではありません。けれども、つわりが悪化して妊娠悪阻になると、入院を余儀なくされます。妊娠悪阻になると、食事はおろか水分の摂取も困難です。妊娠悪阻の診断は、飢餓の状態を表すケトン体の陽性反応や体重減少も割合などによって下されます。
A先輩は妊娠6週目からケトン体の反応が出始めて、8週目から約1ヵ月入院生活を送っていました。入院中はベッドに寝たきりで、点滴から栄養を摂取します。退院後も1ヵ月自宅療養をしていました。
その後A先輩は会社に復帰して、産休前まで働きました。休んでいる間は、有給や妊婦のための特別休暇を利用していたようです。特別休暇中も基本給の3分の2の給与が保証されていました。世の中にはつわりが原因で退職を余儀なくされることもあるようですが、A先輩の場合は会社の制度をうまく活用して、トラブルを乗り切っていました。
妊娠中のトラブル事例② 安定期に入ってから入院を余儀なくされたB先輩
妊娠5か月からは安定期とよばれています。しかし、安定期になったからといって、必ずしも安全なわけではありません。B先輩は、安定期に入った直後に大量出血して絶対安静となりました。
入院中は、ほとんど立ち上がることもできなかったといいます。また突然のトラブルで、会社での引き継ぎもまったくできていない状態でした。
赤ちゃんのことが心配で精神的にも不安定な中、病室で携帯電話を片手に引き継ぎ業務を行ったそうです。B先輩は責任感も強く、丁寧な仕事ぶりが社内外から評価されていました。B先輩にしかわからない仕事も多かったため、引き継ぎ業務が発生することは仕方がないことですが、それでも負担は大きなものだったと思います。
妊娠中のトラブル事例③ 泊りがけの出張で切迫早産になったC先輩
妊娠中の働き方は、ある程度配慮してもらえますが、ときには泊りがけの出張を命じられることもあります。
C先輩は妊娠後期に泊りがけの出張で、しかも一日中立ち仕事をこなしました。その後お腹に違和感を覚え病院にいったところ、子宮頸管が短くなり切迫早産と診断されました。産休まであと一か月の時期でしたが、職場の人にあいさつすることもできず、自宅で絶対安静となったそうです。
当時仕事上のやりとりしていた私は、C先輩と突然連絡を取れなくなったことで、とても心配したことを覚えています。しかし、最悪の事態を考えると、容易に連絡を取ることができませんでした。
妊娠後期までの経過が順調だったことから、C先輩は出張に行くことになりましたが、やはり妊娠中の無理は禁物だと改めて感じた出来事でした。
今回は3つのトラブル事例を紹介してきましたが、その後無事に出産を終え、今は3人とも子育ての真っ最中です。
働いていたこととトラブルの因果関係はわかりませんが、狭い会社というコミュニティの中で、これだけ問題が発生していると思うと、少し怖くもあります。ワーキング妊婦のみなさんも、「これくらいなら大丈夫」と過信せず、いつも以上に身体を労りながら働いてくださいね。